現役会計士が暴露!公認会計士はやめとけ!?の真相

公認会計士 やめとけ
ねこ君
公認会計士を目指したいけど、色んな人に「やめとけ」って言われた。。
ねこ君
「食えない」とか、「仕事ない」とか。。公認会計士ってそんなに良い資格じゃないのかな・・?
Ryo
人にいわれてやめるのは簡単ですが、自分の人生は自分で決めないと後悔しますよ。他人は人の人生にそう興味なんてないんです。
Ryo
たしかに、公認会計士を目指すのはそう簡単な道ではありません。資格を取得後も、苦労することの連続です。
Ryo
でも、この難関資格に勝ち得た経験は大きな自信にもなりますし、キャリアにも確実に生きてきます!私は後悔したことはありません!

 

何かの縁で公認会計士という資格の存在を知り、自分も公認会計士を目指して資格勉強をしてみようかなと思った人がいたとします。

でもその方は公認会計士という仕事もよく分からないし、試験の難易度やその後の就活、収入など、本当に目指していい資格なのか分からずインターネットで検索してみることにしました。

すると、「公認会計士」まで検索エンジンに入力した段階で「公認会計士 やめとけ」「公認会計士 やばい」などが出てきました。

その人はその予測検索ワードに飛び、様々な公認会計士に関するネガティブな記事を読んで、結局公認会計士を志すことを辞めてしまいました。

 

あくまで一例ですが、このようなことがもし起きていたら非常に悲しいなと思い、今回この記事を執筆することとしました(事実「公認会計士 や」まで打つと上記のような検索ワードが出てきます)。

実際問題として、特にこの変化の多い時代において公認会計士を志すのは本当に正しい選択(自分に合っている)なのか本当はやめた方がいい資格なのか、現役の公認会計士が感じることを紹介出来ればいいなと思っております。

 

この記事の著者:もりはんくす

現役企業内公認会計士。大学在学中に公認会計士試験に合格し、BIG4監査法人にて約4年働いた後、外資系事業会社へ転職し経理部として勤務。1児の父。趣味は野球。

監修者:Ryo

大学大学中に日本の公認会計士試験に合格し、大手監査法人に勤めた後スタートアップでIPOや投資を経験。その後アメリカにMBA留学し、卒業後に現地の会計事務所に就業経験あり。公認会計士・USCPA。簿記3級〜1級を保有。

公認会計士を「やめとけ」という人たちの意見5選

会計士 やめとけ?

まず、公認会計士はやめとけという人たちの代表的な意見を5つ確認していきましょう。

試験の難易度

試験難易度が高く、資格浪人をして人生を台無しにする、ということを不安視している人が多いようです。

試験難易度が高いのは事実です。合格率だけ見るとそこまで難易度の高い資格には見えないかもしれません。

2022年現在、直近3年間の短答式試験(1次試験)の合格率は10%前後、論文式試験(2次試験)の合格率は35%前後です。

公認会計士試験 論文式 合格率
論文式試験の合格率
公認会計士試験 短答式 合格率
短答式試験の合格率

(出典: 資格の学校TAC HPより)

 

これでも十分低い合格率ですが、筆者がさらに留意しなければならないと感じるのは、試験受験者の母集団が試験勉強をみっちりこなした受験生だという点です。

公認会計士協会が公表している合格者の属性を確認すると、会社員をしながら合格をしている人の割合は10%未満です。

公認会計士試験 合格者の職業

公認会計士協会が公表する”令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について”より引用

 

また、各予備校の公認会計士のカリキュラムは一通り終えるのに短くても1年間程度と設定されています。

ゆえに公認会計士試験の母集団は9割以上がこの試験のためだけに少なくとも人生を1年間捧げた人たちということです。

そこから1次試験を突破するのは10%前後、さらに2次試験に進んだ人から35%のみが合格を勝ち取れるという試験です(1次試験のことで言うと当日欠席者を除くと合格率は10%強くらいには上がります)。

 

また公認会計士試験は試験科目数が多く、試験の内容も当日に難しい問題を悩ませて解かせる、というよりは、多くの情報量を少ない時間で処理できるか、というのを問う試験と言えます。

ですので、公認会計士の受験には相応の勉強時間が必要で、地道にコツコツと試験勉強を積み上げられる人が向いていると言えます(その時点でもう私には無理、と筆者妻には言われたことがあります)。

 

公認会計士試験は1次試験が年2回、2次試験が年1回ですので、どんなに勉強が煮詰まっていても当日の一発勝負で力を発揮出来なければまたもう1年同じ勉強を続けないといけないという怖さがあります。

カリキュラムを十分にこなし準備を万全にしても3年、4年と受験勉強期間が伸びてしまうことはよくあるケースで、費やした時間と労力を考えると後戻りできずに人生を台無しにしてしまうという可能性があることは理解しておくべきでしょう。

 

Ryo
私も大学生活の1年間は公認会計士試験に捧げました・・・、懐かしい。

 

仕事が単調

長い期間の受験生活を経て苦労して合格した後は、輝かしい公認会計士としてのキャリアアップを期待する方が多いでしょう。

公認会計士試験に合格すると、その全員ではないですが大半の方が監査法人に就職します。会計監査という仕事は思っているよりもずっと地味です。

会社の不正を暴くというようなエキサイティングな状況はほとんどなく、特に最初のスタッフ時代は適正意見ありきでの証拠集め、書類作成に終始するというのが実情です。

マネージャークラスになれば、クライアントによっては複雑な論点を検討しクライアントと議論して、という会計士の醍醐味を味わうことも出来ますが、中間管理職のマネージャーはまた別の事務作業に追われるケースが多く、より激務さが増します。

 

Ryo
監査法人1年目は修業期間ですね。

 

仕事が激務

前述のように仕事が退屈なだけなら人によってはまだいいかもしれませんが、会計監査は加えて激務です。

季節労働者とよく言われますが、3月決算の会社が多い日本では4,5月は繫忙期となり、深夜労働や土日出勤が頻繁に発生します。

最近は監査法人もワークライフバランスや36協定の遵守などの意識が高まり時間によってはPCが強制的にシャットアウトするなどの施策が取られているようですが、受け持つクライアントの決算期に応じて繁忙期が1年のうちに何度も来るのは事実です。

 

Ryo
今は昔よりも穏やかな労働環境になったと聞いたことはあります。

 

AIなどによる将来性の不安

会計監査はコンピューター技術との親和性が高く、将来的に80%程度はAIに取って代わられると言われています。

複雑な会計論点の検討や、総合的な判断などは引き続き人間の手が必要になるため公認会計士が全く不要になるということはありませんが、スタッフレベルが実施する仕訳テストや証憑突合、残高確認などはAIで十分代替可能と言われています。

ゆえに将来的には公認会計士が余るという未来が訪れると考える人もいます。

 

ねこ君
確かに、経理や監査って数字を扱う仕事だし、AIの得意分野なのは間違いないよね。そう考えると将来的には会計士の仕事も減っていきそうかも…
Ryo
商標突合などの単純作業的な部分は意外とAIで置き換るのは難しそうですけどね。
Ryo
どちらかというと、単純作業を海外(インドやフィリピンなど)の会計士にアウトソースする傾向にはあると思います。

 

仕事が無く食えない

前述のAIへの代替の話とは別で、過去に公認会計士に受かっても監査法人に就職できない、監査法人で大規模なリストラが実施された、という時代がありました。

法定監査は上場会社 (上場準備会社含む)や大会社に求められるため、会計監査の需要というのは景気に大きく左右される面があります。

ゆえに監査法人は景気がよく人手不足の時には積極的に採用を行いますが、景気が悪く人余りの際には新規合格者の採用を渋るというのを繰り返してきました。

公認会計士の合格者数もそのような需要に応じてコントロールされるのですが、イマイチそこのタイミングが嚙み合わないことがしばしばあり、2007~2008年あたりの大量合格時代と言われる世代において監査法人の就職にあぶれる人が続出したという歴史もあります。

 

Ryo
ここ数年は特に監査法人で慢性的に会計士が足りていないので、仕事がないという心配はないかと思います。

 

それでも公認会計士は目指す価値がある理由

公認会計士魅力

ここまで公認会計士に関するネガティブな意見を列挙してきましたが、筆者はそれでも公認会計士を取得する価値は大きいと考えています。その理由を4つほどあげます。

 

年収の底堅さ

まずは年収です。監査法人によりますがスタッフ1年目の基本給は月給30万円強、ボーナスは年間4か月程度です。

これに残業代が上乗せされ、1年目の年収は600万円から650万円程度になります。もちろん超一流企業など上には上がありますが、新卒1年目として貰える給与としてはかなり高い水準です。

約4年目でシニアスタッフに上がれば年収は900万円程度、約8年目でマネージャーに上がれば1,000万円、さらにシニアマネージャーにあがれば1,300万円パートナーになれば2,000万円程度と一般的なサラリーマンでは到達できない年収に早い段階で到達することが可能です。

もちろん途中で監査法人から転職し、コンサル業界、外資、ファンド業界などにいってさらなる年収アップを果たしている人は珍しいケースではありません。

 

ねこ君
会計士のお給料ってそんなに高いんだ!?専門知識も身に付くだろうし、他の業界に転職しても力を発揮できる場はたくさんあるんだろうなぁ。
Ryo
その通り、資格の勉強や監査を通じて身につけたスキルは、どこにいっても使える汎用的な部分もありますよ!

 

キャリアの懐の広さ

公認会計士は取得することで様々なキャリアへの扉が開きます。

監査法人でのキャリアだけでなく、新卒採用であれば相当のスペックを持ち合わせていないと採用されないような企業(外資コンサル、外資金融、総合商社、ファンドなど)に中途採用で採用されるケースは多くあります。

大企業だけでなく、スタートアップ企業にチャレンジすることも可能です。

公認会計士を必要とするスタートアップ企業は多く、魅力的な会社を見つければ思い切ってチャレンジすることが可能です。仮に失敗しても監査法人に戻ればその給与水準を稼ぐことは担保されているからです。

余談ですが、小さい頃から芸人になるのが夢だったものの、親に大反対されて将来のセーフティーネットとして公認会計士の資格を取得して親を説得したという方もいます。

何にせよ使い方は無限大ということです。

 

きたるジョブ型採用の時代に強い

新卒一括採用と終身雇用が根強かった日本ですが、昨今では大企業でさえ終身雇用を維持するのは困難であることを示しています。

この流れは将来的に止められないと筆者は考えています。既に転職は当たり前の時代ですが、10年、20年先では定年までに転職を複数回行うことがさらに当たり前となる時代が来るはずです。

そのような時代では旧来の日本企業が行ってきた、人に仕事をつける「メンバーシップ型」採用ではなく、現在の欧米企業が行うような、仕事に人をつける「ジョブ型」採用となるでしょう。

そんな時代で公認会計士は、ジョブローテーションでゼネラリスト的人材となる大企業人材と比べて、明確に自分の強みとキャリアをアピール出来るスペシャリスト的存在となります。

 

会計は何の仕事でも活きる

筆者は過去監査法人と一般事業会社両方に勤めた経験がありますが、一つ気づいたことがあるとすれば、会計は何の仕事でも活きるし必須の知識だということです。

会計監査人でも経理でなくとも、会計知識はビジネスマンとして最低限かつ必須の知識です。会計知識が無い人は数字で説明が出来ないですし、説得力のある説明が出来ないので信頼されないという人を多く見てきました。

もし仮に公認会計士の資格を取得後に、会計と直接関わりの無い仕事についたとしても、その知識と経験は必ず他の仕事に活きてくると断言します。

 

公認会計士に受かって初めて見えた世界

会計士仲間

筆者が公認会計士を取得後、様々なキャリアを積み重ねる中で、公認会計士にならなければ出会うことも交わることもなかっただろうなと思う人たちを紹介したいと思います。

 

合格同期、監査法人同期という存在

合格同期、監査法人同期は筆者にとって非常に大きな存在です。監査法人は10年も経てばそのほとんどの同期が監査法人を出ていき様々な道に進んでいます。

その進む道は様々で、事業会社やスタートアップに行く人、コンサルやFASの道に進む人、開業する人、家業を継ぐ人など本当に様々です。

そういった人たちが頑張っている姿を見ると、自分のモチベーションになりますし、刺激にもなります。

またビジネスの世界に身を置く以上、そういった存在と一緒に仕事をすることもありますし、分からないことがあればすぐ詳しい人に聞けるのも本当に心強いです。

 

会計のプロで飯を食ってきた諸先輩方

公認会計士という資格が今もなお価値の高い資格として地位を維持しているのは、公認会計士として様々な世界で活躍をし続けて来られた諸先輩方のおかげに他なりません。

監査法人でも事業会社でも先輩の会計士の方々にはたくさんのことを教わりましたし、本当に優秀な方が多いです。

優秀な人たちと仕事が出来る可能性が高まるのは自分のキャリアの上でもプラスですし、仕事のトラブルやストレスが減ります。

 

起業家の多さ

公認会計士は起業を志す人が本当に多いです。

家業を継ぐという人も多いですが、家業が無くとももっと世の中を良くしたいという思いで、起業をする人、起業を見据えてスタートアップ起業に身を置く人が本当に多いです。

公認会計士を目指す理由は様々ですが、こういう人たちに出会うことが出来たのも公認会計士という資格を志したからだと思っています。

 

会計は全てのビジネスの根本である事実

前述しましたが、会計は全てのビジネスの根幹です。会計を理解している人が全員優秀とは言わないですが、ビジネスの世界で優秀な人は漏れなく会計の知識があります。

会計を学ぶことでビジネスの世界で生きていく最低限の土台が培われると言っても過言ではありません。

だからこそ、公認会計士の資格は転職市場で高く評価されるのです。

 

ねこ君
優秀な人材との幅広い人脈があると、モチベーションが下がりそうな時、ビジネスで困った時、どんな場面でも心強いね!
Ryo
会計士を勉強するなら、私とも会計士仲間になりますね!笑

 

公認会計士が向いている人

公認会計士向いている人特徴

筆者の完全な私見ですが、公認会計士に向いている人の特徴を挙げたいと思います。

根気がある人、飽き性ではない人

これが無いとまず公認会計士に合格出来ません。最低でも1年、長くて4,5年です。同じことを継続して努力し続ける性分が無いと勝負になりません。

 

大雑把な人

これはイメージと逆だと感じる人も多いと思うのですが、公認会計士は大雑把でいいのです。逆に神経質で細かいことに拘る性格だと苦労するかもしれません。

細かいことまで正そうとすると会計監査は終わりが無いからです。

大体が間違ってなければいいんでしょという気持ちと事務処理能力が高い人が高く評価される傾向にあると思います(もちろん年次が上がることに、専門性、強みは人により異なりますが)。

 

自由が好きな人

これが1番かもしれません。公認会計士は自由な人が多いです。資格があるからどこでも何をしても生きていける、という将来にワクワクする人であれば公認会計士は絶対おすすめです。

 

まとめ、公認会計士を目指すなら

公認会計士受験心え

やるなら死ぬ気で

公認会計士を目指すと一度決めたのなら、受かるまでの期間は人生で一番必死になる気持ちで、そのことだけを最優先にして死ぬ気でやりましょう

この試験の恐ろしいところは受かれば100、受からなければ0というところです。いくら惜しいところまでいったとしても受からなければ1円にもなりません。努力は世間で評価されません。

 

公認会計士以外の仕事もたくさんあることは忘れずに

とはいえ世の中の仕事は公認会計士だけではありません。何度やっても受からない人もいますし、10年以上も掛けて取るべき資格とも私は思いません。

自分で納得いくところまでいってダメなら他の選択肢もあることは心の片隅に置いておいてもいいかもしれません。本当に大変で辛い試験なので。

 

人生最後で最大の試験勉強に挑むことの経験

ここまで必死になって資格試験の勉強をするのは人生で最後でしょう。

人によっては大学受験が最後という人も多いと思います。そんな中で公認会計士を受験するという選択をし、全てを犠牲にする覚悟で受験勉強を完走し、合格を勝ち取ったという経験、事実は一生の宝です。

そんな経験も含めて、筆者は公認会計士になったことを後悔したことは一度たりともありません。受かった側の意見でしかないですが、本当に最高の資格です。

 

以上参考になれば嬉しいです。この記事を読んで公認会計士を志すという方が少しでもいれば本当に嬉しいです。

 

この記事はインターンのKokiによって編集されました。