退職・転職はまだ早い?キャリアに生きる監査法人の使い倒し方

退職?転職?監査法人の賢い使い方
ねこ君
監査法人2年目、仕事はきついしやりがいも少ない。そろそろ辞めどきかな。。
ねこ君
でも、転職するのも怖いし。。
Ryo
私もそうでしたが、監査法人勤務は激務や人間関係で悩むことが多いですよね。
Ryo
でも、使い方によっては退職せずに続けながら、自分にあった働き方が見つけられる可能性もありますよ!
Ryo
退職・転職か悩む前に、監査法人の活用法を知っておきましょう!!

 

監査法人に勤めてる公認会計士の方は多くの方が常に転職が頭にあると思います。

その理由は仕事のやりがいであったり、キャリアの不安であったりなど様々だと思います。

しかし、本当に監査法人は残るか辞めるかの二択なのでしょうか。

筆者は監査法人に4年勤めて転職しましたが、外からみて監査法人は様々な使い方があることが分かってきました。

今回はそんな監査法人の新たな働き方の視点をご紹介できればと思います。

 

この記事の著者:もりはんくす

現役企業内公認会計士。大学在学中に公認会計士試験に合格し、BIG4監査法人にて約4年働いた後、外資系事業会社へ転職し経理部として勤務。1児の父。趣味は野球。

あるある!?監査法人を退職・転職したくなる理由4選

監査法人 退職の理由

繁忙期の激務がつらい

まずはこれでしょう。監査法人といえば怒涛の繁忙期です。3月決算の多い日本では監査法人の会計士に4月、5月の休日はほとんどありません。

それ以外でも上場企業の四半期レビュー変則決算会社などを担当していれば一年中繁忙期という人もいるでしょう。

繁忙期には「絶対閑散期になったら転職活動して辞めてやる」と思っていたはずなのに、1か月程度の閑散期が訪れると「あれ、監査法人ってやっぱ最高じゃん。転職はもう少し様子見てからかな」のループはもはやあるあるです。

 

Ryo
監査法人ではゴールデンウィーク返上で働くのが普通ですよね笑

 

会計監査がつまらない

監査が好きな人もいることは事実です。監査法人時代に人の粗探しをするのが大好きと言っていた上司がいました。

また、難解な会計論点が出てくるとゾクゾクとすると言っていた上司もいました。

このような特殊な方々を除き、大抵の方にとって監査は退屈なものでしょう。

 

資料依頼をするのにも会社に嫌な顔をされたり、会計処理でクライアントと折り合いがつかなかったり、スタッフレベルでクライアントから感謝されるような機会はほぼ皆無です。

マネージャークラスになれば経営層から相談を受けたりして感謝されるような機会が増えてやりがいを感じるよと言われることもありますが、それまで貴重なキャリアの8年程度を監査法人に預けろと?

疲弊に疲弊を重ねたマネージャーからそんなことを言われても正直説得力はありません。

監査の要求水準は年々上がり、作成する監査調書のみが増え、検査対策の調書ばかりで実質的な検討に繋がっているのか疑問を持ちながら日々仕事をしている人も多いでしょう。

 

Ryo
仕事がつまらない中でも、小さな楽しさややりがいは見つけられますよ!一番辛いのは次に紹介する人間関係じゃないですかね。

 

周り・上司についていけない

筆者はこれが一番キツかった記憶があります。

監査法人の求人市場は特に近年売り手市場が続いていますので、試験さえ通ってしまえばほぼフリーパスで入社できます。その結果監査法人に勤める人たちは本当に様々な人が集まっています。

難解な会計論点が大好物な上司、長時間労働が身体に染み付いてしまっている上司、往査期間終了間際になって資料依頼も終わっていない同僚後輩、クライアントとまともにコミュニケーションが取れない先輩などなど。。

色んな意味でついていけない周りの存在が、自分はここで働き続けていいのかという疑問を生み出します。

 

マネージャーの顔が死んでる

周りに聞くとこれが一番多い気がします。とにかくマネージャーの顔が疲弊を通り越して死んでる。

パートナーと有象無象のスタッフ層に囲まれて監査をスケジュール以内に完結させる正に究極の中間管理職。給料もシニアスタッフとそこまで変わらない。なんなら残業が多いシニアスタッフに負けるときなども。

自分があと数年働いたらこうなるというのを目の前で見せつけられて、上を目指せというのも無理がある話です。

 

ねこ君
やっぱりどこの監査法人でも大変なことは多いんだね・・・

 

退職・転職したいモヤモヤ期:本当の不満はどこ?

監査法人辞めるのが正解?

自分のことを知る・分析する

監査法人への不満を語りながら飲めば朝までなど余裕という方々も多いとは思いますが、ではいざ転職となると何をしたらいいか分からない、どんなキャリアを志したらいいか分からない、という方がほとんどでしょう。

転職に正解はありません。これは人によって価値観が異なるからです。

  • どんな生活を送りたいのか?
  • どんな時に幸せを感じるのか?
  • どんなキャリアを歩み、何を人生の中で大切にして生きて行きたいのか?
  • 人生で重要な選択をする時、絶対捨てられないものは何なのか?

それによって現状への不満の原因を特定することができます。

 

本当の不満の原因を特定する

例えば、「会計監査がつまらない」の裏には「本当はデザインが好きでデザイナーなどのクリエイティブな仕事をしたい」かもしれないし、「本当は直接人の笑顔が見れるような仕事がしたい」なのかもしれません。

「繁忙期の激務が辛い」の裏には「家族の大切な記念日に家族といられなかったり、大好きな歌手のコンサートに行けないから」かもしれないし、「夜ごはんは自分で毎日自炊をして家族と食卓を囲むのが一番大事だから」かもしれません。

「周りについていけない、マネージャーになりたくない」の裏には「自分が尊敬できる人と一緒に働くことが何よりも重要だから」かもしれません。

 

ねこ君
確かに、監査法人のここが嫌と言っても、その裏には何か理由がありそうだね。もう少し自分の気持ちの裏側を探ってみることにするよ・・・
Ryo
会計士はすごく良い仕事ですが、確かにかつてやりたかったことを保留して資格試験したり監査法人に勤めてしまうと、他にやりたいことがあったのにとなりそうです。
Ryo
会計士に限ったことはないですが、本当は何がやりたいのか?は常に意識するべきかと思います。

 

本当に退職・転職?それ以外の解決策は?

どんな会社への不満でも、転職・退職による解決法と、それ以外の解決策があるかと思います(例えばパワハラを受けた場合で言えば、社内で異動する方法と転職する方法)。

そしてそれらはそれぞれのコスト、労力、リスクが異なります。それを測ってから合理的な判断をしようといった提案をしたいと思います。

 

例えば以下のような状況ならさっさと監査法人から転職してしまいましょう。

  • 監査法人にいても達成不可能なキャリアを望む場合
    • デザイナーになりたいのに監査法人にいても仕方がない
  • 監査をするだけで蕁麻疹が出るほどストレスを感じる場合
    • 世の中に仕事はたくさんあります

 

一方で、以下のような場合なら、柔軟にやりながら監査法人に留まる選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。

  • 監査法人でマネージャーのような働き方をしたくない
  • 監査は嫌いじゃないが起業の夢を捨てきれない
  • 家族、子供を第一に考えたいのでもっと仕事が忙しくない職場に転職したい

 

ねこ君
確かに、転職しか選択肢がないわけではないのかも・・・一度立ちどまって考え直して見ようかな・・・
Ryo
監査法人を使い倒してから退職した方が頑張って勉強した価値もありますよ!

 

退職だけが選択肢ではない!監査法人の柔軟な働き方

監査法人 退職以外の選択肢

「非常勤/バイト」で働きながら独立を目指す

監査法人には非常勤会計士として採用があることをご存知でしょうか。

一般的には、「年間で〇日就業する」「週〇日就業する」という雇用形態を結び、監査法人で勤務をする雇用形態です。

勤務日数は人によりまちまちで、「年間30日」という人もいれば「年間180日」という人もいます。

 

年間30日というのは少ないケースですが、監査法人によっては繫忙期だけといったニーズもあるので少ない勤務日数でも採用されるケースはあります。

逆に年間180日は常勤とほぼ変わりませんが、週3~4日働きたい方のニーズには合ってきます。

時給は能力やスキルによってまちまちですが、4,000円~10,000円程度です。時給8,000円で週2回出勤すれば月給約50万円になる計算です。

 

筆者の友人にも監査法人を辞めて起業をした後に、業務が軌道に乗るまで監査法人でバイトをする人が何人かいました。

業務の内容は様々ですが、非常勤会計士を重要クライアントのインチャージとして配属することは皆無ですので、基本的に業務ストレスは重くないと言っていました。

起業をしたいがそれまでの生活費が不安、という方は是非考えてもいい選択肢ではないでしょうか。

 

監査法人の非常勤採用は基本的に人材エージェントを介して行われることが多いようです。

もし監査法人の非常勤採用に興味があれば、大手転職エージェントや公認会計士のキャリアに特化した転職エージェントに登録をして、求人情報を入手するのがよいでしょう。

また、もし監査法人を退職してすぐに非常勤で働きたいという場合は退職前に人事や上司に相談してみるのもいいでしょう。

 

ねこ君
そんなに高い時給で雇ってもらえるんだ!?完全にやめてしまう前に上司に相談してみるのもありなのか・・・
Ryo
そうそう、辞めるにしても前職の上司とは良い関係を築いておくのが良いですよ!

 

パートナーやマネージャーを目指さずにシニアにとどまる

これも監査法人時代に筆者が働いていたチームでいたケースですが、DINKS夫婦の女性で15年以上監査法人で勤務しているものの、頑なにシニアスタッフで昇格を止めている方がいらっしゃいました。

この方は猫を複数匹飼っていて、夕方のごはんをあげないといけないので毎日17時半きっかりに退社をしていくのが日課でした。

非常に優秀な方だったので、チームとしても必要な存在でありながら、自分の望む生活をキープするということを実現していた例です。

シニアスタッフの定時帰りでも年収は7百万円程度はありますし、共働きで過度に贅沢な生活を望まなければ十分な暮らしが可能でしょう。

際限の無い年収アップを望む働き方よりも、筆者はこちらの生活の方が充実していると感じました。

 

会計士ママ(パパ)として時短(非常勤)で続ける

筆者も子供がいるので日々格闘していますが、子育てをしながらの勤務は本当に大変です。

平日土日も休まる時は少なく、子供が風邪を引けば仕事をストップして保育園のお迎えに行かなければいけません。

この生活をフルタイム勤務で続けるのは無理だと感じる子育て世代の方は多いのではないでしょうか。

監査法人であれば、リモートワークもしやすく基本給も高いので時短勤務にしても生活レベルをキープすることが可能です。

子供が小さい間だけでも、自分のキャリアより自分の健康を優先して、時短勤務を選択するという勇気は大事だと思います。これは男女問わずです。

 

新しいチャレンジをした後に監査法人に戻る

昨今の会計士の売り手市場では、監査法人は出戻りが比較的しやすい環境にあります。会計士は選択肢が広いので、思い切った転職に勇気を持って踏み切ることも可能です。

しかし転職にリスクはつきもので、仕事内容や人間関係などあらゆる理由で転職先を退職せざるを得ない状況に追い込まれるかもしれません。

そんな場合でも監査法人に戻るという選択を取って、監査の仕事を再開するということも可能です。

 

もし出戻りの可能性があるのであれば、転職後も監査法人時代の上司の方と連絡を取り合うなど繋がりをキープしておくことが大事です。

もし監査法人に戻ることに抵抗がある場合でも、実際に監査法人で働き続けている元上司に相談することが出来れば戻ることのイメージがしやすいでしょう。

また戻った際に配属されるチームについてもある程度口利きしてくれる可能性も高まります。

ただ後述しますが、実際の出戻りの際には転職エージェントなどを介して、他の法人と比較する冷静さも必要かもしれません。

 

企業戦士として「パートナー」になる

スタッフ期にしっかりと仕事をこなし、マネージャー期の激務を乗り越え、途中で海外赴任や出向、大きなプロジェクトを成功に導くなどの実績を残しパートナーまで昇格するのもまた一つ、監査法人会計士のゴールと言えます。

監査法人退職後も企業の社外監査役の話がわんさか入り、定年後も職には困らず経済的に盤石な人生を歩めるでしょう。

 

ねこ君
完全に退職・転職するというよりも、色々な選択肢を総合的に検討してみよう・・!

 

監査法人の働き方に対して視野を広げることの利点

監査法人 メリット

辞めたい/転職したい時の心理的安心感に

多くの会計士は監査法人からの転職は初めての転職になりますので誰もが怖いものです。しかし無闇なリスクに怯えて自分の可能性を狭めることがないようにすることも重要です。

起業にしろ、転職にしろ、新たなチャレンジをした場合でもいざとなれば監査法人に戻れるという心理的安心感を最大限使えるのは会計士の特権です。

監査法人からなるべく早く出ろとは言いませんが、もし自分の進みたい道ややりたいことが明確にあるなら、終了考査を終えて一通りの経験が積めたと思えた段階で思い切って外に出ることは決して間違いではありません。

 

筆者の友人で外資銀行の経理部へ転職の後、古巣の監査法人ではなく別の監査法人に戻った人がいます。

彼女は①監査法人の方が人や雰囲気は好きだった②海外赴任をしたいの2点から海外赴任のチャンスが貰える可能性の高い監査法人を選んで監査業務に復帰を遂げました。

監査法人に転職して1年程度ですが、英語力や経理の実務経験をフルに活用して監査法人では大活躍のようです。

彼女曰く、「どうやっても目立ってしまう(笑)」ということです。監査法人経験しかない監査法人会計士の中で、外での経験は必ず強みになります。

 

Ryo
一度退職する場合は、その転職タイミングについてもしっかり考えておきましょう!

 

激務を理由に無闇な転職をしなくてよくなる

激務から逃れることだけを目的に転職するとあまり良い未来にはならないケースが多いです。

激務だけが理由なら、激務の状況を改善する方法を監査法人で模索する価値はあると思います。

監査法人は狭い世界ですので、人と違った働き方を選択することは勇気のいることかもしれませんが、外を見れば様々な働き方をしている人がたくさんいることに気づいてください。

 

退職によるリスクを減らせる

起業などの新たなチャレンジをする際に、完全に監査法人を辞めるのではなく、非常勤勤務などを活用しながら両軸で働くことによって新しいチャレンジが自分に合っているか、成功可能性が高いかなどを判断する猶予期間を獲得できます。

そのうえで監査法人がやはり自分に合っていた、となるかもしれません。

 

まとめ

以上参考になれば嬉しいです。

自分の可能性を広げるために自分の人生を捧げて獲得した資格なので、せっかくなら自分の幸せに繋がる使い方をして欲しいと願っています。

 

この記事はインターンのKokiによって編集されました。